ram’s blog

本と映画と絵画をこよなく愛する日々の記録

『悲しみとともにどう生きるか』

先日、遠い町の駅の本屋で、うんざりする会議が始まるまでの短い時間、立ち読みをするために手に取って、すぐに、これは買って読まなければ、という思いに駆られ、そして夢中になって読みました。

悲しみとともにどう生きるか (集英社新書)


20年前、自分は大学生で、テレビのワイドショーなど目もくれず、テレビのニュースも新聞も真剣に見ませんでした。

「世田谷事件」のことは、それでも耳に飛び込んでき、家を写した映像や家族の写真はまぶたに焼きついていました。

けれども今になって、初めてこの本を通して心で事件を感じとめた気がしています。

柳田邦男さんの『犠牲サクリファイス』を読んだのもちょうど20年くらい前、その記憶がまざまざ蘇りました。



特に、作家の星野智幸さん、臨床心理学者の東畑開人さんの言葉は、心に響くものがありました。

若松英輔さんの言葉は、私には少し響き過ぎるとでも言えばいいのか、何か気をつけないと言葉の力に飲み込まれてしまいそうなほどの、''巧みさ''まで感じてしまうのです。『悲しみの秘儀』も参照しましたが、それがどういうことなのかは、ちゃんと考えてみたいと思います。


いわゆる"正しいこと''とは違う、心に寄り添うというか、付き従うというか、その奥行きに入っていく入り口となる本でした。